百合花

庭続きの竹藪のなかに白百合の花をみつけた。蚊に刺されながらスマホで撮った写真をFacebookに載せると何人かの反応はあった。

数日前、此処を訪れたガーデンキーパー女史に百合の品種について解説をきいたばかりなのに、私の頭の中には残っていなくて、これは高砂百合とあらためて指摘されて、ああそうだったーーと思い出す始末。

鉄砲百合の仲間らしいが、微妙なところで差異があるーーこの季節ふつうに道ばたでもテッポウユリは見かけるが、藪のなかの白百合は場所柄のせいもあってかどことなく気品があり、露を含んだ風情がほのかな色香を発するように見えたのは、こちらの贔屓目というものか。

わたしが少年のころ、すぐ近くの山野にはヤマユリ(笹百合)が群れをなして咲いていた。その山は松茸も採れたし、はげ山部分は絶好の遊び場だった。

其処はいまゴルフ場のコースとなり、大人の遊び場となって久しい。

あの大量の百合たちは一体どこへ往ったのだろうか。

あの馥郁たる香り、沢山採って部屋にかざるとクラクラと来るような薫りーー

あの清楚で可憐なすがたーー両手で抱えるほど持つと少しばかり見せる艶やかさーーあの花たちはもう見ることもないのだろうかーーと思えば今はただ無性に懐かしい。

H29年8月31日(木)